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ビットコインゴールドが51%攻撃を受ける
先週、Bitcoin Gold(BTG)が、51%攻撃(Double Spend Attack)を受けていたことが判明しました。
この攻撃に関与するBTGアドレスが公開されましたが、このアドレスで5月16日以降、388,200以上のBTGを受け取っています。
被害の全容は判明していませんが、仮にこのアドレスの取引のすべてが51%攻撃に関連していたとすると、取引所は1860万ドル(約20億)もの資金を盗まれた可能性があります。
最近は、Verge(XVG)やモナコイン(MONA)でも同様の攻撃を受けて多額の被害が出ており、BTGが3件目の事例となりました。
攻撃については把握しました。
— monacoinproject (@tcejorpniocanom) 2018年5月17日
過去にはBTCでも51%攻撃が起きそうになっていた
過去(2013年)にはビットコイン(BTC)でも、Ghash.ioというマイニングプールの採掘速度が51%を超えそうになり、大きな話題となって価格が下落した経緯があります。
BTCやBTGのようなパブリック型仮想通貨の問題
非中央集権でありオープンパブリック型の仮想通貨ネットワークでは、トランザクションの承認作業は不特定多数のマイナーが行います。
Rippleのような特定企業が承認を行うコンソーシアム型やプライベート型の仮想通貨、またクレジットカードのようなサーバクライアントモデルの決済システムは、ビットコインやBTGに比べ信頼のおける承認システムを構築しやすくなっています。
一方で、パブリック型仮想通貨にいる不特定多数のマイナーの中には、いい人も悪い人もいるわけです。
集団での合意形成を行う際に、悪いスパイが一定数いると、その人たちの意図した間違った方向への誘導ができてしまう問題があります。
これをビザンチン将軍問題といいますが、この問題を解決するためにサトシナカモトは大変面倒なProof of work(PoW)という方法を編み出しました。
ビットコインやビットコインゴールドのような、オープンパブリック型の仮想通貨では、50%もしくは51%以上のハッシュレートを持つと、ビザンチン将軍問題を突いた51%攻撃(Double Spend Attack)が成功します。
ビットコインのハッシュレートは年々上昇しており、それに伴ってマイニング難易度も上昇していますので、2018年の状況においてビットコインで51%攻撃を成功させることは、事実上困難とされていました。
ハッシュレートを集められないパブリック型仮想通貨の淘汰も必要
今回のBTGのように、本家ビットコインほどのハッシュパワーを集められていないオープンパブリック型のアルトコインでは、この攻撃リスクは常に付きまといます。
ビットコイン採掘で採算をとっているマイニングプールは、専用のASICチップや安い電気代でハッシュパワーへ莫大な投資を行っていますが、その力を低位アルトに傾ければ今回のような攻撃を成功させることができます。
BTGは、本家ビットコインとは違ってGPU処理によるマイニングを行っていますが、このあたりに莫大な投資が行える攻撃者がいれば今後もハッシュパワーを独占することが可能でしょう。
現在、仮想通貨はわかっているだけで、1600種以上存在しています。
仮想通貨の将来を考えたときに、低位のアルトコインはある程度、淘汰されていくことが健全といえます。
言い方を変えれば、攻撃を受けるリスクの高い仮想通貨が世の中に多数に存在している以上、仮想通貨は今のギャンブル的な扱いを抜けられないでしょう。
仮想通貨が浸透して、将来的に一般の人たちがこの決済手段を選択するようになるには、まだ越えなければいけない問題がたくさんあります。
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