こんにちは、モリタです。
本日は「正社員・派遣・フリーランス ・独立」といった、ITエンジニアとしての働きかたの種類についてまとめたいと思います。
働き方によってリスクや収入などが違ってきますし、人によって向き不向きもありますので、一概に正解の働き方はありません。
しかし、「正社員のSES(準委任)」というような、明らかに搾取される働き方は個人的に避けていただきたいと考えています。
特にIT業界は、ITゼネコン構造と呼ばれる多重請負の既存構造が出来上がってしまっており、同じ現場で同じ仕事をしている人に大きな収入差があるケースもよくあります。
ITエンジニアは自身のスキルアップにより市場価値を上げながら働く必要のある仕事です。
決して自分を安売りして搾取されないようにしましょう。
現状に不満があるなら、勇気をもって一緒に一歩を踏み出しましょう。
Table of Contents
ITエンジニアの働き方について【種類】
正社員、フリーランス 、派遣、独立
ITエンジニアはさまざまな雇用形態で働くことができます。
一般的な働き方を下記の表にまとめました。
おすすめも記載していますが、実際はケースバイケースになりますので、目安程度にお考え下さい。
雇用形態 | おすすめ度 | 指揮系統 | 成果物・瑕疵担保 | 期間 | |
正社員 | ユーザ | 〇 | 自社 | あり | 無期限 |
1次請け | ◎ | 自社 | あり | 無期限 | |
下請け | 〇 | 自社 | あり | 無期限 | |
準委任 (SES) | × | 自社 (実態は派遣先) | なし | 無期限 (派遣先変更あり) | |
フリーランス | 在宅型 | 〇 | 個人(請負) | あり | プロジェクト |
常駐型 | ◎ | 個人 (実態は派遣先) | なし | 契約期間 | |
派遣 | △ | 派遣先 | なし | 契約期間 | |
独立 | 請負 | ◎ | 自社 | あり | プロジェクト |
準委任 (SES) | ◎ | 自社 (実態は派遣先) | なし | 契約期間 |
正社員【ユーザ・プライムベンダー・下請け・SES】
いろいろある正社員
正社員と一言でいっても、発注者側であるユーザ企業から下請けまでさまざまな種類があります。
正社員の種類
- ユーザ企業(発注者側)
- 1次請けベンダー
- 下請けベンダー(2次請け・孫請け・・)
- 準委任(SES)
なぜこれほど種類が分かれているかと言うと、これは日本のSIerがITゼネコンと呼ばれる構造上の問題です。
一般的には1次請けであるプライムベンダーほど上流工程を担当し給与水準も高くなっています。
逆に、下請けになるほど中間マージンが抜かれていくため給与の低い傾向になります。
私は過去同じ現場で5次請けの人を見たことがあります。
ちなみに日本ではこのようにシステム開発を他社に委託することが多いですが、アメリカではユーザ企業でSEを抱えて自社開発するのが一般的です。
【ITゼネコン構造】
最初の一歩は、正社員として商流を上げること
正社員として働く人におすすめのキャリアアップは、ユーザ企業や1次請け(プライムベンダー)といったポジションで働けるように商流を上げていくことです。
ユーザ企業は大手SIerよりも収入アップできるケースもありますが、SEを雇用する枠自体が大きくないため競争率も高くなります。
また、公共・金融・製造・ヘルスケア・社会インフラなど、本業がITではない企業の情報システム部では、IT企業に比べて社内での地位が低くなる傾向があります。
ユーザ企業ではなくSIerでキャリアアップしていくのであれば、まず最初の一歩は、正社員として商流を上げていくことをオススメします。
大規模プロジェクトをプライム(一次請負)で手掛ける大手SIerで経験を積むことができれば、その経歴を生かしてさらなるステップアップがしやすくなります。
大手SIerをキャリアのゴールにするというよりは、踏み台としてさらなるキャリアアップがしやすくなる点が、おすすめできるポイントです。
大手SIerで働くメリット
- 中小SIerや零細SIerより年収が高い傾向
- 大規模プロジェクトの提案や基本設計といった上流工程を経験できる
- 大規模案件のプロジェクトリーダーとしてマネジメントスキルが身に付く
- 外資やコンサルなどさらなるキャリアアップがしやすい
- 福利厚生が充実している
- 社会的属性が高い(ローンが組みやすいなど)
>>>関連記事:インフラエンジニアのキャリア&年収アップ戦略を具体的に解説
正社員の中でも客先出向(SES)だけは避ける
正社員において最もおすすめできない働き方は、「準委託(SES)」として客先に出向するエンジニアです。
正社員SESは、所属している企業の正社員ではあるものの、そこから現場(客先)に常駐して働きます。
正社員SESで働くデメリット
- 所属企業に膨大なマージンを搾取される
- 現場を選べない(キャリアアップできない客先に出向させられる可能性がある)
- 勤務先が定まらない(急な遠方への異動もある)
- 勤務時間が定まらない(日勤から急な夜間運用現場に異動など)
- 現場(客先)での地位が低い
- 自社への帰属意識が低い(月に1度も自社出勤しないケースもある)
正社員のSESは労働者が搾取される構造
中小・零細IT企業の中には、自社独自のサービスを持っておらず、SESのみでビジネスを展開している会社が無数に存在しています。
悪質な会社の中には、社員の育成もせず、本人のスキルや希望も聞かずに、客先に社員を派遣してマージンを得ることしかしていないケースもあります。
SESは客先へエンジニアを派遣するビジネスモデルのため仕方ないことではありますが、何もしない企業に50%ものマージンを搾取されるのはエンジニアとして避けるべき雇用形態です。
同じような仕事をするのであれば、正社員のSESに比較して、フリーランス(常駐型)のほうが中間マージンがとられません。
常駐型フリーランスと正社員SESの違い
私は先ほどご紹介したプライムベンダーの正社員と同じくらい、フリーランス(常駐型)という働き方をおすすめしています。
フリーランスは安定性がないと思われがちですが、常駐型のフリーランスの場合、専用のエージェント経由で比較的安定して仕事を獲得することができます。
もちろんスキルや経験によって受けられる仕事の質や単価は変わってきますが、それはSESでもさほど変わらない事実です。
フリーランスについては後ほど詳しく解説します。
一時的なキャリアアップのためにSESを利用するのはあり(ただし3年以内)
SESビジネスのみを展開す企業は、IT業界の中でも入社難易度が低い傾向にありますので、未経験でIT業界に入るとしばらくこういった企業でしか働けない場合があります。
私も未経験からIT業界に入って、最初の3年は金融グループの情シスや、大手SIerの上流工程を担当する部門に出向社員として3年間働きました。
その経験を生かしてプライムベンダーに転職することができたので、キャリアアップをできる出向先であれば一時的に利用するのはありです。
ただ、正社員のSESで働くのは、できれば3年以内にとどめていただきたいです。
それ以上長くなると、搾取構造に麻痺して抜け出すことができなくなってきますし、この業界にはそういった方がたくさんいます。
スキルアップできない現場からは早めに逃げる(転職する)
誰でもできるキャリアアップできない現場に派遣されると転職もしにくくなってしまいますので、そういった場合は早めに転職カードを使ってください。
今は正社員でも転職をしながら積極的にキャリアアップをする人が増えてきました。
若い時の貴重な時間を、キャリアアップできない現場で2〜3年も費やすのは本当にもったいないことです。
転職は若い人ほど有利なので、先延ばしにせず勇気を持って一歩を踏み出しましょう。
ちなみに転職活動では、「転職サイト」ではなく、「転職エージェント」を使ってください。
なぜ転職エージェントなのか?についての詳細は別記事にまとめていますので合わせて参考にしてください。
>>>関連記事:転職サイトよりも転職エージェントを使うべき5つの理由
>>>関連記事:ITエンジニアにおすすめの転職エージェント7選
>>>関連記事:転職エージェントでは自分に合ったアドバイザーのタイプを探そう
フリーランスのITエンジニア
在宅型と常駐型のフリーランス
フリーランスには大きく分けて「在宅型」と「常駐型」の2種類があります。
フリーランスの種類
フリーランスの種類 | 働き方 | 報酬 |
在宅型 | 案件ごとに契約を結び、自宅で作業を行う。 | 請負の場合は成果物(主流) 準委任の場合は業務遂行 |
常駐型 | 案件ごとに契約を結び、契約先の企業に常駐して作業を行う。 | 1~3か月など、一定期間ごとに契約締結・更新を行うケースが多い。 |
在宅型フリーランスのメリット
フリーランスといえば「自由な働き方」というイメージを持っている人が多いと思います。
この自由のイメージは、在宅で仕事をしているフリーランスに当てはまります。
在宅フリーランスのメリット
- 勤務場所や勤務時間が指定されない(自由!)
- 受注によって稼働をコントロールしやすい
在宅フリーランスの最大のメリットはなんといっても「自由!」ということではないでしょうか。
結果(成果物)で評価されますので、決められた納期までに納品できればあとは何をしていてもいいわけです。
基本的に案件を単発で受注しますので、稼働のコントロールも自由にしやすくなります。
一方で、常駐型のフリーランス に比べて仕事を探す時間が増えやすく、個人での営業力が必要となります。
また、在宅型フリーランスが請けられるプロジェクトは小規模で難易度も低い傾向になるので、競合も増え収入が安定しないこともしばしばあります。
個人営業だけでなく、クラウドワークスやランサーズといったフリーランス 向けのプラットフォームを利用している方も多いです。
常駐型フリーランスのメリット
在宅で働くフリーランスと違い、常駐型のフリーランスはサラリーマンとあまり変わらない働き方をできます。
常駐フリーランスのメリット
- 大規模案件や大手企業の案件に参画しやすい
- 高単価案件が多く収入が安定しやすい
- 中長期の案件を獲得しやすい
- さまざまな現場経験が積める
フリーランスと聞くと在宅で自由な仕事をイメージする人も多いですが、ITエンジニアの場合は請負や準委任で客先に常駐するフリーランスもたくさんいます。
一般的にはフリーランス専用のエージェントに登録してプロジェクトを探しますので、在宅型フリーランスに比較して、個人で営業する労力は少なくなります。
エージェントの与信で仕事を請けることができるため、在宅型のフリーランスに比べ大規模案件にチャレンジすることも可能です。
大規模案件では高単価な傾向になるとともに、期間も中長期に渡って続きますので生活が安定しやすくなります。
エージェントの中間マージンも10~20%程度なので、正社員型のSESと比較して収入は格段に上がります。
フリーランスのエージェントは大手で実績のあるところを利用するのがおすすめです。
別の記事でおすすめのフリーランスエージェントと、実際の案件や単価をご紹介していますので、お時間のあるときに合わせてご参照ください。
>>>関連記事:ネットワークエンジニアはフリーランスで高収入になる(実際の案件紹介あり)
フリーランスと正社員SESの違い
常駐型フリーランス のデメリットとしては、働き方が会社員時代とそれほど変わらないことでしょうか。
フリーランスといえば成果物を納品さえできれば自由なイメージを持たれている方もいますが、常駐型の場合は客先で就業しますので顧客のルールに従うことが実態となっています。
この辺りは、人によって合う合わないが出てくるところかなと思います。
ITエンジニア別、フリーランスとの相性がいい仕事
在宅型フリーランスと相性のいいエンジニア | 常駐型フリーランスと相性のいいエンジニア |
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クラウドワークスやランサーズを見ていると、Webエンジニア、プログラマー、デザイナーの仕事は比較的たくさん見つかります。
一方でチームで大規模案件を遂行することが多いバックエンドエンジニアは、客先のチームに入るので常駐型と相性がいいです。
自分の得意なスキルがどれくらい需要があるか、一度調べてみてみるとイメージできると思います。
>>>【在宅型】クラウドワークスで在宅でできる仕事を検索してみる
>>>【常駐型】フリーランスエージェント最大手の「レバテックフリーランス」 で案件を検索する
派遣エンジニア
派遣エンジニアは派遣元と雇用契約を結び、派遣先で働きます。
派遣元企業と雇用関係にあるため、労働基準法も適用されます。
無期雇用派遣の場合、正社員同様に保険や年金の手続きや支払いにおいて所属する派遣元企業からサポートを受けられます。
また、有期雇用派遣の場合でも、一定の条件を満たせばサポートを受けることが可能です。
派遣専用のエージェントに登録することが一般的です。
起業して受注する方法もある
いろいろとご紹介してきましたが、1番収入を最大化できるチャンスがあるのは、起業してしまうことです。
正社員に比較してリスクは高くなりますが、一人でスモールに起業してリスクを抑えることも可能です。
仕事を受注するために営業力が必要になりますが、起業する前に根回しをしておけば独立後スムーズに仕事をすることが可能です。
独立(起業):請負
自分で会社を起業して仕事を請け負うこともできます。
実はSEで起業するケースはよくあります。
仕事のできるSEはバイネームで仕事を任されることが多いため、所属先を変えても需要があるのです。
私の知り合いも仕事のできる数人で集まって起業しました。
大きい案件は与信の関係で契約できないケースもありますので、中間に別の企業を挟んで仕事を受注するなど注意点もあります。
独立(起業):準委任契約を結ぶ
SEの中には、個人で独立して準委任で現場で働いている人もいます。
働き方としては、先ほどご紹介した常駐型のフリーランスと同じイメージです。
フリーランスではなく独立にする最大のメリットは、収入や税金をさらにコントロールしやすくなることです。
私の知り合いは、住居関連費や車関連費の一部を経費計上することだけでなく、家族(妻)を従業員扱いにして収入をコントロールしています。
まとめ:ITエンジニアとして搾取されない働き方をする
本日はITエンジニアの雇用形態について、それぞれの種類とおすすめ度をご紹介しました。
実際はそれぞれケースバイケースなので一言でいうことはできませんが、どのような形にしてもITエンジニアとして搾取されない雇用形態を取ることを心がけましょう。
私はできるなら独立してしまうことが一番いいと思っていますので、近年中に独立することを考えています。
仕事を請けられるように業界で実績と信頼を作っておくことが大事です。
本日も最後まで読んでください、ありがとうございました!