こんにちは、インフラエンジニアのモリタです。
今回は主にSIerで働くインフラエンジニアのキャリアアップ&年収アップ戦略について取りあげます。
特に未経験からインフラエンジニアになる方や、経験年数がまだ浅い方にこれからのご自身のキャリアについて考えるかきっかけになれば嬉しいです。
はじめに結論ですが、未経験からインフラエンジニアを始めるかたは早めに大手SIerに転職して経験を積んでしまうことをオススメします。
日本特有のITゼネコン構造(後ほど説明します)にはデメリットも多く存在していますが、現状としては大手SIerで上流工程やマネジメントの経験を積むことが更なるキャリアのステップアップとして近道だと考えているためです。
もちろん最初から外資やコンサルや先端技術の分野で活躍できる方は全然それでいいと思います。
自信をもって我が道を進んでください。
逆に未経験からインフラエンジニアにキャリアチェンジした方は、今の売り手市場というチャンスを早めにつかんでください。
ちゃんと経験を積んでいけば今の時代は誰でも大手SIerへ転職することが可能です。
あくまで「大手SIerへの転職=成功」と言っているわけではなく、大きい会社ならではのデメリットも数多く存在しています。
そのため大手SIerへの転職だけを推奨しているわけではありません。
大手SIerはキャリアのゴールとしての魅力よりも、そこで経験を積んで次へのキャリアアップへとつなげる踏み台にできる副次的な魅力があります。
RPGゲームのようにエンジニアとして経験値を積み上げ、その結果として年収アップに繋がれば最高だと考えています。
大手SIer以外のキャリアアップ方法についても今回は深掘りしていきますので是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。
また当ブログでは前提としてネットワークエンジニアとサーバエンジニアの方も含めてインフラエンジニアと呼称しています。
全てのエンジニアの方に共通することを書いていますので是非参考にしてください。
それではいきましょう。
Table of Contents
インフラエンジニアの具体的なキャリアアップ
インフラエンジニアとしてキャリアアップする代表的なプランは下記のものがあげられます。
インフラエンジニアのキャリアアップ戦略
- 大手SIer(プライムベンダー)への転職
- 上流工程から下流工程まで一気通貫したキャリアを経験する
- 外資系企業への転職
- コンサルティングファームへの転職
- 先端技術(クラウド、セキュリティ、ローカル5Gなど)スキルの習得
- 管理職になる
- フリーランスになる
- 起業・独立する
- その他・・・
インフラエンジニアとしてのキャリアアップ・年収アップの具体的な道は案外たくさんあることがわかります。
ここに挙げたもの以外にも存在していると思いますが、ここでは上記でピックアップした代表的な選択肢についてご紹介します。
順番にみていきましょう。
大手SIer(プライムベンダー)への転職で年収アップ
まずインフラエンジニアとしてのキャリアアップの王道は大手SIerに転職することです。
なぜ大手企業への転職がオススメかというと、「ITゼネコン」と呼ばれるSIerの構造に関係します。
日本のITゼネコンと呼ばれる構造は顧客から受注したプロジェクトを、一次請けから二次請け、三次請けといった商流で分担しながら遂行する方式が一般的です。
大手企業は大きな与信で大規模プロジェクトを受注できますが、そのプロジェクトを全て自社(内製)でクローズするのではなく、詳細設計、テスト、構築といった下流フェーズを下請けSIerに発注していきます。
一次請けする大手SIerのことを「元請け」や「プライムベンダー」とも呼びます。
【ITゼネコン構造】
大手SIerで働くことのメリット
大手SIerでインフラエンジニアとしてキャリアアップをするメリットは下記があげられます。
大手SIerのメリット
- 中小SIerや零細SIerより年収が高い
- 大規模プロジェクトの提案や基本設計といった上流工程を経験できる
- 大規模案件のプロジェクトリーダーとしてマネジメントスキルが身に付く
- 外資やコンサルなどさらなるキャリアアップがしやすい
- 福利厚生が充実している
- 社会的属性が高い(ローンが組みやすいなど)
大手企業への転職をキャリアのゴールとすることもできますし、そこからさらに別の道へキャリアアップすることもできます。
日本の大手SIerは平均年収が600〜800万円くらいですが、年収1,000万円を目指すなら別の道を進む方が近道になります。
現に大手SIerで大規模プロジェクトのマネジメントや上流工程を経験してきたエンジニアは転職市場で高く評価されます。
年収を早く伸ばしたい方こそ大手SIerを自身のキャリアゴールにしないことです。
大手SIerでも管理職になれば年収1,000万円も夢ではありませんが、昨今は管理ポストの席が少ない&高齢化しているので時間がかかってしまいます。
大手SIerでキャリアアップをすると別の道に進みやすくなるのは確かです。
大手プライムベンダーはキャリアの終点ではなく、(言い方は悪いですが)極上の踏み台ともいえるのです。
大手SIerで働くことのデメリット
参考までに大手SIerの代表的なデメリットも述べておきます。
大手SIerのデメリット
- やりたい仕事をやらせてもらえない
- SEが営業にくらべ評価されにくい
- 年功序列など古い風習
- 転勤させられることがある
- 結局上司がクソ野郎だと意味がない
キャリアアップに積極的なインフラエンジニアにとって1番大きなデメリットは「やりたい仕事をやらせてもらえない」ことです。
フロントの営業部で要件定義や設計などの上流工程を経験したくてもバックヤード部門の運用部署に配属されることもありますし、製品や技術担当としてスペシャリストとしてのスキルを身につけたくても技術とは全然関係ない部署に回される可能性もあります。
多くの企業で一応キャリアについて希望する体制はあるもののそれが絶対に叶うとは限りません。
中途の転職組であれば仕事を希望して入社することもできますが、特に新入社員などでやりたい部署に回されなかった場合そこから抜け出すのが大変です。
また、ITのゼネコン構造をみてわかる通り大手SIerは大きな案件を顧客から受注するという最大のミッションがあります。
仕事がなければそもそも会社の経営ができませんので当然仕事を取ってくる営業が社内で1番評価されていたりします。
SEも一緒にプリセールスをしたりするのですが、どうしても受注後のポストセールスに工数をとられたりしますので営業ほどプリセールスにコミットできないのが実情です。
そういった意味で大手SIerの経営層をはじめとした出世頭は営業出身者が多いです。
逆に下請けのSIerは最大のミッションがエンジニアリング業務なので社員のほとんどがSEで構成されています。
そのためSEが働きやすいことが第一に考えられていることが多いです。
大手SIerに入ったもののエンジニアとしての経験が積めない若手が、下請けの中小SIerに転職して技術を身に付けるという話はよくあります。
あとは年功序列の風習や転勤させられることは他の大企業と同じで普通に可能性があります。
なんとなく大企業が安定しているという安直な考えも残念ながら切り捨てて検討してください。
大企業は安定していると思いがちですが、やりたい仕事ができなかったり、上司と合わなければ結局自分のメンタルが不安定になるということを忘れてはなりません。
会社の安定などあまり意味がないのです。
自身のプライベートも含めたライフプランを考えてから転職活動をしましょう。
上流工程・プリセールスエンジニアで年収アップ
一部の大手企業と無数の下請け企業からなる日本のITゼネコン構造ですが、大手SIerでキャリアを積むことが必ずしも正解というわけではありません。
大手SIerで経験できないことの代表的な例として、構築や検証といった下流工程の経験を積みにくいことがあります。
下記はシスコシステムズが定義しているネットワークのライフサイクルです。
シスコの定義するライフサイクル
「エンジニアは手を動かしてなんぼ」という言葉が現場にありますが、やはり実機を操作したり設計通りに動作することを何度も確認しながら技術を覚えていくことが多いです。
基本的なプロトコルの知識や製品ドキュメントを精読して理解できる論理的思考力があるインフラエンジニアなら問題ありませんが、ほとんどの人は手を動かさないとイメージを頭の中に定着させることができません。
(手を動かすというのは検証や構築を通して実際に実機を操作することです)
ただテスト計画書や構築手順書通りに頭を使わずやっている場合は論外になりますが、逆に頭を使って仕様通り動作することを確認していく経験はエンジニアにとって大切です。
現に手を動かさないことが原因で正確な理解ができていない大手SIerのインフラエンジニアよりも、中小SIerで百戦錬磨の経験を積んでいるインフラエンジニアの方がスキルが高いことが多くあります。
大手SIerのデメリットでも述べましたが、やりたい仕事に回してもらえずエンジニアとしてのスキルアップができない大手SIerのSEが下請けSIerに転職することはよくある話です。
また、上流工程と下流工程でどちらが優れているとか、良いとか悪いとかいったことは関係ありません。
ITインフラのライフサイクルが上流から下流へと流れていくことの表現であり、どちらの工程も大切なフェーズです。
顧客から絶大な信頼を受ける運用や保守のスペシャリストもいますし、全工程を一気通貫して経験してキャリアアップしているインフラエンジニアは市場で高い評価を得ています。
引き続き自信をもって仕事をしていきましょう。
外資系企業(外資メーカー)への転職で年収アップ
外資メーカーへの転職はインフラエンジニアが最速で年収アップを達成できる方法のひとつです。
アメリカをはじめとしたIT先進国で活躍するエンジニアの給与水準は基本的に日本より高いです。
外資系企業の日本法人においても(企業によって雇用契約は若干異なりますが)、多くは給与水準が本国と同等の扱いになるため日本のSIerで働くSEよりも年収が高くなります。
(そもそもヘッドクォーター採用の方も多くいらっしゃいます)
このあたりは企業によって変わりますので転職前によく確認をしてください。
外資メーカーは基本給だけでなく売り上げに対するインセンティブが日本企業と比にならないほど高く設定されています。
外資メーカーが日本に進出する多くの理由は、自社製品を日本の市場で導入事例を作り拡販していくことなので売り上げへのインセンティブが強いのです。
これはメーカーという性質にも影響しています。
SIerは工数ビジネスなので、ひとりのインフラエンジニアが仕事をできる量に限界があります。
しかしメーカーのコアビジネスは物販やサービス拡販なので、製品やサービスが売れれば売れるほど青天井に売り上げが伸びていきます。
外資メーカーで働くエンジニアには技術だけでなく営業能力が求められます。
そのため大手SIerでプリセールスや顧客折衝などの上流工程を経験したインフラエンジニアは外資メーカーへの転職がしやすくなります。
いつ首になるかわからない不安定な雇用
最近では仮想マシンのクラウドやオンプレ間でのマイグレーションツールであるZertoが日本を含むアジアパシフィック全域から撤退するニュースがありました。
*Covid-19 bites as Zerto terminates all Asia Pacific employees
https://sg.channelasia.tech/article/672427/covid-19-bites-zerto-terminates-all-asia-pacific-employees/Zerto has terminated all employees in Asia Pacific in response to declining market investments due to Covid-19
Zertoは、Covid-19(新型コロナウイルス感染症)による市場投資の減少に対応して、アジア太平洋地域のすべての従業員を解雇しました
外資で働く方にはこのような雇用環境に対する「覚悟」も必要となります。
チャレンジ精神があり新しい技術が好きな方や、英語を含んだコミュニケーション能力の高いエンジニアは外資系企業に向いています。
私の周りで外資へ転職した知り合いは、日系企業に戻らず外資企業を渡り歩く傾向にあります。
コンサルティングファームへの転職で年収アップ
コンサルタントもIT業界では高年収を得ることができる職種のひとつです。
上流工程を経験してきたインフラエンジニアが次のステップとしてITコンサルタントへ転職する事例は多くあります。
コンサルタントは顧客の課題をテクノロジーや製品カットではなく、課題ベースで提案をできなければなりません。
データサイエンスやBI(ビジネスインテリジェンス)といったエンジニアリング以外の応用的な考えが必要となります。
コンサルタントファームの中には、コンサルティングに留まらず提案したシステムの導入や最適化を一気通貫で手掛ける場合があります。
しかもひとりの担当者が全てマネジメントして導入までやる場合があり、まさにコンサルから営業・設計・導入までマルチで活躍できるエンジニアの真骨頂のような働き方です。
コンサルティングファームで働くインフラエンジニアは、コンサルだけでなく一気通貫したスキルとビジネスインテリジェンスを持ったエンジニアになることがオススメです。
先端技術(クラウド、セキュリティ、ローカル5G)のスキルをつけて年収アップ
先端技術を追求することにより年収アップに繋がるケースは多く存在しています。
技術市場の新規開拓では市場にスキルをもったエンジニアがいないため、希少性が高くなりやすく年収は飛躍的に上がります。
海外のスタートアップエンジニアは市場規模を意識してスキルを磨いたり新規開拓をするという考え方は有名な話です。
市場規模(市場に流れるお金やニーズ)が大きいほど相対的にビジネスチャンスが多く、年収も高くなる可能性があがります。
市場で枯れた技術にもニーズは必ずあるのですが、世の中が新しく求めるスキルを柔軟に身につけているエンジニアの方が市場価値が高いのは一目瞭然です。
先端技術がどのようなものがあるかわからないかたは、ガートナー のハイプサイクル (先端技術)は毎年公開されるのでチェックしましょう。
ガートナー?ハイプサイクル?マジッククアドラント?という方は、下記記事を合わせてご参照ください。
管理職になって年収アップ
日系企業の場合、昇進して管理職に任命されると役職手当として月給や賞与がアップします。
管理職のポジションは年々減少&高齢化しているので若干時間はかかりますが社内出世は今でもキャリアアップの王道コースです。
役職者になると案件遂行をするエンジニアと異なりメンバー管理が主な仕事となります。
エンジニアの管理は経験やスキルが問われるのでなかなか大変な仕事です。
個人の能力値が高いエンジニアが必ずしもいいマネージャーになるとは限りません。
エンジニアとしてマネージャーを目指す方は、周囲を生かしながら円滑に仕事をすることを意識していきましょう。
フリーランスで年収アップ
フリーランスになる選択肢もインフラエンジニアの業界ではあまり一般的ではありませんが、キャリアアップ&年収アッップができるオススメの雇用形態です。
フリーランスで活躍するエンジニアは、エージェントサービスを通じて請負ではなく委任契約として中・長期の雇用を個人事業主として結ぶことが多いです。
仕事は個人事業主が多数在籍する仲介会社(エージェント)に登録して探すことが一般的です。
フリーランス の仲介会社には、フリーランスエンジニアを目指す人をバックアップする様々な体制が整えられています。
PE-BANKさんやギークスジョブさんなどのエージェントサービス経由で契約をすればそれほどハードルが高いわけではありません。
中にはフリーランスのエージェントサービスに登録せず、個人で営業をして直接企業と請負契約をするフリーランスの方がいます。
ただネットワークエンジニアの場合、先にも述べた通りチームで働く現場が多いことや、直接契約では与信が通らない場合が多いので基本的にはフリーランス専門のエージェントサービスを利用することをおすすめいたします。
フリーランスでは仕事を選ぶことができるので実は若手にもおすすめの雇用形態です。
エンジニアとして起業・独立する
起業や独立に挑戦するエンジニアも業界には存在しています。
無数に存在している中小SIerも元はエンジニアが独立して作っているというケースも多いです。
起業する方のほとんどは業界での実績が抜群に評価されており、独立後に仕事をもらえる前提で複数人の仲間を集めて起業していたりします。
彼らが独立後に仕事をもらえる理由は、バイネーム(指名)で仕事を依頼したいからです。
それだけエンジニアとしてのスキルや人間性が優れているからできることともいえます。
起業する場合は事業収入として報酬を得られるため確定申告で税金のコントロールをできる点もメリットとしてあります。
会社の住所を自宅にして起業した先輩もいましたが、家の家賃も経費に含んで確定申告しているということでした。
起業はサラリーマンに比べて多少リスクもありますが成功すればリターンも大きい選択肢です。
私も将来的には起業をしたいと考えています。
まとめ:他にもあるインフラエンジニア注目スキル
本日はインフラエンジニアとしてキャリアアップ・年収アップが期待できる手段をご紹介しました。
もちろんここに書いた道以外にもさまざまなキャリアアップがあると思います。
インフラエンジニアとしてRPGゲームをやるような感覚で前向きなキャリアアップをしていけるといいですね。
最後にインフラエンジニアの業界で注目されている技術をご紹介します。
新しい技術を身に付けると希少性が高まりますのでインフラエンジニアとして市場価値を一段レベルアップできますよ。
インフラエンジニアの注目スキル
- フルスタックエンジニア
- クラウド
- セキュリティ
- ワークシフト(VDI、リモート接続環境)
- プログラミング
- ローカル5G
インフラエンジニアの注目スキルについても別の記事で詳しくまとめたいと思います。
ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。
今後もインフラエンジニアの方に役立つ情報を更新しますので、引き続きよろしくお願いします。