LINEのデータセンターでホワイトボックススイッチを採用

取り上げるのが遅くなりましたが、ホワイトボックススイッチに関連するニュースをひとつ。

LINEは、Cumulus Linuxを搭載したメラノックスのイーサネットスイッチを1000台以上採用したというニュースが発表されました。

関連記事:LINEがホワイトボックススイッチ採用――Cumulus Linux搭載のメラノックス製スイッチを1000台以上

 

LINEがホワイトボックススイッチを採用した理由は、データセンターの規模の拡大と運用コスト削減が狙いとのことです。

ネットワークスイッチはSDNの台頭により、既存ベンダーのベンダーロックインから解放される流れにあります。

そもそも企業のクラウドシフトに伴いハードウェアの売り上げは落ちている中、オンプレミスデータセンターもベンダーフリーな流れとなりCisco、Juniper、Aristaといった既存ネットワーク機器ベンダーにとっては方向転換が余儀なくされています。

 

シスコのNexusOS(NX-OS)もホワイトボックスに対応

そういった流れから、先日CiscoのデータセンターネットワークスイッチのNexusをサードパーティ製のスイッチで動作させたり、逆にサードパーティ製のホワイトボックススイッチ上でNexusのOS(NX-OS)を動作させることが可能になりました。

既存のベンダーロックインを解体して、柔軟でスケーラビリティで安価にデータセンターネットワークを構築したいという要望がグローバルで強まっており、それに答える形の対応となります。

この分野でのCiscoのライバルであるJuniperやAristaでは、Cumulus NetworkやBig Switch Networksなどのベンチャー企業がリリースした、ホワイトボックス上で動作する独自のネットワークOSを提供することで、市場の崩壊を受け入れています。

↓↓シスコのNX-OSを解体したニュースは下記記事もあわせてご参照ください。↓↓

CiscoがNexusとNX-OSの解体(ホワイトボックス化)を容認した件

 

LINEの大規模NWを支えるインフラの全貌

LINEのホワイトボックススイッチのテクノロジーはJANOGのミーティングでも紹介されています。

今回は公開されているパワーポイントを参照します。

参照:JANOG43 Meeting in Yamashita

 

LINEは100Gのホワイトボックスを採用しTbpsのトラフィックを捌く

LINEは100Gbpsのホワイトボックススイッチを大量に並べ、Tbpsのトラフィックを捌いています。

NW機器間を100Gbpsで接続し、サーバは10Gbpsで接続する4階層のモデルになっています。

すべての階層でN+1構成にすることにより、簡単にスケールアウトが可能となり単一故障時の縮退率も下げることが可能です。

 

LINEのバックボーンはすべての機器をEBGP接続してL2フリーに

ルーティングはすべての機器でEBGP接続をしており、サーバにも直接BGPをしゃべらせています。

これによりLayer2設計の考慮が不要となり、BGPにより簡単に経路制御ができるようになっていますね。

さらにバックボーン内のBGP経路はすべて当コストでロードバランスしており(ECMP Load-Balancing)、大規模NWですが、設計ができるだけ難しくならないように工夫されているようです。

 

 

経路設計をBGPだけにしたことによるメリットをLINEは下記のようしています。

BGPだけにしたメリット

・ベンダ依存プロトコルの排除
・AS-PATH Prependにより特定機器の隔離が簡単
・BFDが不要(Interface down=BGP down)
・個別の設定が少なく設定を共通化しやすい
・VLAN管理からの開放

 

ホワイトボックスのOSはCumulus Linuxを採用

Cumulus Linuxは、アメリカに本社を置くCumulus Networks社が開発したホワイトボックススイッチ上で動作するLinux ディストリビューションです。

ちなみにCumulus LinuxはDebianベースのLinuxディストリビューションです。

ハードウェアとソフトウェアを完全分離できるので、ホワイトボックススイッチによく採用されるOSで、サーバ運用で用いられているChef / Puppet / Ansible などの構成管理ツールや、Serfなどのオーケストレーションツールを使ったエコシステムをネットワーク運用まで拡大する事で運用に効率化も実現できます。

新しいOSを採用すると、管理するエンジニアも新たに必要となりますが、Cumulusはそこそこ導入が始まってから時間が経っているのである程度技術が枯れていることと、データセンター内の論理設計を簡単にしているのでハードルがそこまで高くない印象です。

 

LINEはインフラエンジニア募集しているよ

LINEのバックボーンは大規模ですし、最新の技術にも触れられるのでインフラエンジニアのキャリアとして魅力的です。

こちらのLINEのページで職種毎に随時更新されているので、興味のある方は見てみてください。

→LINEの求人を見る

 

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