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「FinTechの衝撃」の書評
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私が読んだ書籍や漫画、鑑賞した映画・DVDなど
今回は『FinTechの衝撃』(城田 真琴著)の超個人的な書評です。
評価は★×5段階で”超個人的意見”なので悪しからず。
フィンテック海外事例充実度:★★★☆☆
フィンテック国内事例充実度:★★★☆☆
ブロックチェーンについて学べる度:★★☆☆☆
「FinTechの衝撃」の構成
はじめ に
第一章 なぜ今、フィンテックなのか
第二章 フィンテックサービスの実際
第三章 フィンテックの革新技術「ブロックチェーン」
第四章 金融機関のフィンテック戦略
第五章 モジュール化する金融サービス
第六章 日本におけるフィンテックの方向性
「FinTechの衝撃」の注目ポイントまとめ
フィンテック(FinTech)は近年金融業界で流行している造語(Finance×Technology)です。
近年のフィンテックの潮流について分かりやすくまとめた『FinTechの衝撃』は、ベストセラー『クラウドの衝撃』『ビッグデータの衝撃』の著者である城田 真琴氏による最新刊(2016年発行)です。
過去の著書と同様に、フィンテックを事例を用いながらテクノロジーカットに解説してくれています。
フィンテックという言葉は有名になりましたが、そもそもフィンテックでどのようなことが起きているかということを知りたい初心者にオススメの書籍です。
欧米で注目されたフィンテック
冒頭ゴールドマン、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴなど欧米の先進事例に学ぶ「育成」「提携」「出資」「買収」戦略 が紹介されます。
JPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモン氏が語るように、メガバンクのライバルは今や他のメガバンクではなくなり、グーグルやフェイスブックになりました。
ゴールドマン・サックス会長兼CEOのロイド・ブランクファイン氏の答えも同様で「We are a technology company」と称しIT投資を積極的に行なっています。
減り続ける欧米メガバンクの支店
例えばバンク・オブ・アメリカの場合、2010年に米国国内の支店数は6052店舗ありましたが、2015年には4787店舗と、実に21%にあたる1265店舗が姿を消しています。
ウェルズ・ファーゴやJ.P.モルガンも同様に支店の統廃合と人員削減を行っています。
欧州でも同様にモバイルシフトが進み、既存の大手銀行は支店が姿を消しています。
英国の大手銀行HSBCでは2010年に1311店舗あった店舗が2015年には964店舗まで減っており、実に5年間で4分の1が閉鎖しました。
ドイツ最大のドイツ銀行は、2015年から2017年にかけて現在ある700支店から最大200店舗統廃合とする計画を発表しています。
スペイン最大のサンタンデール銀行も、2016年中に全3467店舗のうち全体の13%である450を閉鎖する計画を明らかにしていました。
日本の金融機関もフィンテックを避けられない
日本の金融機関も近年勢いを増すフィンテックの潮流を避けられません。フィンテックの先行者になろうと必死になっています。
かつて安定企業だったメガバンクもこれまでの業務を続けていれば苦しくなることは明確です。
例えば、みずほフィナンシャルグループは今後10年間で1万9000人を削減し、現状の約6万人から4万人規模に移行する検討をしており、IT活用による業務効率化や、店舗の統廃合を進める方針を発表しています。
海外では既にこのような縮退営業の潮流にあり、日本のメガバンクをはじめとする既存金融機関も逃れようのない事象となっている表れです。
みずほ、10年間で1.9万人削減検討 ITや店舗統廃合で=関係筋
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支店を維持するコストが重荷となりモバイル決済が台頭
銀行のIT活用は1970年代の後半にATMを導入たことを除けばそれほど大きく変わってきませんでした。
近年ようやくオンラインバンクやモバイルバンクが登場してきましたが、フィンテックで銀行業のアンバンドル化を狙うベンチャー企業をはじめ、AmazonやApple、googleなどをはじめとする大手インターネット企業もこの分野に参入し、若者を中心に銀行離れが進んでいます。
消費者の心が金融機関から離れていくとともに、オンラインバンクや、モバイルバンクが登場したことで、物理的にも消費者の足が銀行から遠のいていきました。
支店を訪れる顧客が減ったからといって、支店の維持費とそこで働く従業員の人件費コストはさほど変わりません。
銀行としては支店を維持するコストが次第に重荷となり、今後も閉鎖や人員削減の方針となっているわけです。
スマートフォンの普及によるモバイルシフトの潮流
これと反比例してモバイルバンクが普及しており、若者を中心にモバイルシフトの傾向が強まっています。
スマートフォンやタブレット端末の普及により、モバイルシフトは消費者に多大な利便性をもたらしています。
送金、振込、残高確認など、これまで支店やATMで行っていた手続きは、わざわざ支店に行かずともスマートフォンやタブレットで行えるようになりました。
新しい金融プラットフォーム「スマートフォン」
ケニアでモバイル決済を可能にするエムペサ
スマートフォンやタブレット端末という新しいプラットフォームの登場により、モバイル決済が可能となりました。
ケニアでGDPの50%以上の取引を占める金融サービス「M−PESA(エムペサ)」をご存知でしょうか。
エムペサはモバイル決済サービスで送金・決済などが行える、日本でいうところのLINE Payや楽天ペイのようなサービスです。
ケニアの携帯電話会社サファリコムに出資した英携帯電話大手のボーダフォンが2007年に開始したエムペサは、いまやケニアの成人の約80%の人が利用している金融インフラサービスです。
モバイル決済は日本ではまだ一般的に使われていないですが、ケニアではエムペサが広く普及され一般的に使われています。
中国ではWeChatやアリペイのモバイル決済サービスがあります。
途上国のケニアではPCのような高価物は普及しておらず、インターネットアクセスの99%はモバイルからと言われています。
PCとモバイルというプラットフォームの普及割合が日本とケニアではかなり違い、その点でケニアでのモバイル決済サービスは日本より普及が進んだと考えることができます。
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日本はATMが便利すぎてモバイル決済が普及しない?
日本では銀行の支店やATMの普及率も影響していると考えることができます。
日本のほとんどの街には、メガバンクや地銀の支店やATM、最近ではコンビニATMが設置されており、そこで銀行サービスを利用することができます。
前述した通りアフリカではほとんどの人が銀行口座をもっていないので、そういった金融インフラの違いも影響しています。
少し前までは、先進国の日本で成功したビジネスモデルを海外で売るタイムマシン経営がたくさんありましたが、いまやケニアや中国を始め、多くの国が日本よりFintechを含むIT化が進んでいるので、逆に日本が見習って輸入する時代となりました。
こうした途上国が先進国を上回る現象は「リープフロッグ(蛙跳び)」と呼ばれています。
従来の発展形態をそのままなぞるのではなく、技術進歩があると、それまでの段階を飛び越えて新しい先端のサービスにいってしまうのです。
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4492762272″ title=”FinTechの衝撃”]ロボアドバイザー
ロボアドバイザーはインターネット上で資産運用の助言と実際の運用を自動的に行うサービスです。
証券会社や投資顧問会社に所属しているプロが行う従来の「フィナンシャルアドバイザー」に対して、ロボットがアルゴリズムで自動的に行うので「ロボアドバイザー」という造語になっています。
最近の金融機関は、株、投資信託、ETFなどの金融資産を売買する際の手数料ではなく、老後を見据えた中長期的な資産運用のアドバイスを行い、そのアドバイス料を報酬として受け取るモデルに転換しています。(コミッション型からフィー型モデルへの転換)
人間が行う従来の方式がフィナンシャルアドバイザーで、だいたい預かり資金の1〜2%を報酬として受け取るのが相場です。
ロボアドバイザーでは、これらをロボットが行うので、利用者は従来よりも低い手数料で利用でき、利用者の窓口も広くなるので、保有資産が少なくても気軽にサービスを受けられます。
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https://www.crypto-curation.com/robo-advisor/
仮想通貨を学びたい人は仮想通貨革命がオススメ
フィンテックの例でよくブロックチェーンと仮想通貨が挙げられますが、これは現状ビジネスにおけるフィンテックの本流ではありません。
FinTechの衝撃におていも仮想通貨については紹介レベルになっていますので、基礎を学びたい方は野口 悠紀雄先生の仮想通貨革命あたりをまず手に取ることをオススメします。
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4478028443″ title=”仮想通貨革命—ビットコインは始まりにすぎない”]
『FinTechの衝撃』はフィンテックの全体像を掴むのに最適な入門書です。
内容が非常に分かりやすいので、知識なしで読んでも大丈夫です。
読めばきっとフィンテックに興味を持てますし、また新たな知識を追求したくなること間違いなしです。
[wpap service=”with” type=”detail” id=”4492762272″ title=”FinTechの衝撃”]