わたしは未経験からネットワークエンジニアを始めた頃、毎週末に図書館へ行って勉強をするようにしていました。
その頃の勉強が今のネットワークエンジニアとしての技術の基礎になっています。
初心者の方ほど実務でわからないことがたくさんあると思いますので、本で知識を補いながら体系的に学んでいくことが大切です。一緒に勉強していきましょう!
今回はネットワークエンジニアを始めたときにオススメの4冊とその読む順番をご紹介します。もともと3冊でしたが新しく良書がみつかったので1冊追加して4選にしました。
初心者だけでなくネットワークエンジニアとして更なるキャリアアップしたい方にもオススメです!
▶︎▶︎▶︎関連記事:【おすすめ3選】未経験からインフラエンジニアになる方法を解説
Table of Contents
ネットワークエンジニアとは?必要なスキルは?
ネットワークエンジニアとは、インフラエンジニアの中で特にネットワークに特化した知識と技術を習得したエンジニアを指します。
企業によってはインフラエンジニアにマルチスタックを任せネットワークという特定の専門ポジションを持たない場合もありますが、インフラ規模が大きくなるほどネットワークの専門的な知識・技術が要求され自ずとネットワークのスペシャリストが必要とされます。
<代表的なシステムの一例>
【もっと詳しく知る!】▶︎▶︎▶︎インフラエンジニアとは?ネットワークエンジニアとサーバエンジニアの違いを解説
ネットワークは全てのシステムの土台になる極めて重要なITインフラです。
大規模システムほどインフラへの投資コストも大きくなり、多くのネットワークエンジニアたちが絶対に止めてはいけないミッションクリティカルなシステムを裏で支えています。
そんなネットワークエンジニアに求められる基本的なスキルは、TCP/IPをはじめとしたネットワークプロトコルの知識や、ルータやスイッチをはじめとしたネットワーク機器の操作です。
それらの知識を前提にネットワークの設計や運用業務ができるようにならなければなりません。
ネットワークエンジニア1年性に求められる基本スキル
- インフラアーキテクチャ全般を体系的に理解する
- TCP/IPをはじめとしたネットワークプロトコルの知識を習得
- ルータ やスイッチをはじめとしたネットワーク機器の操作
システム全体をもう少し分解して理解するためにOSI参照モデルが役立ちます。
ネットワークエンジニアとして最初に知識をつけるべきポイントは、OSI参照モデルで言うところのLayer1〜4の知識です。
【OSI参照モデル】
階層 | 階層名 | 主な役割 |
第7層(レイヤー7) | アプリケーション層 | HTML/CSS・プログラム |
第6層(レイヤー6) | プレゼンテーション層 | 文字コードなどのデータ表現形式 |
第5層(レイヤー5) | セッション層 | 通信の確率・維持・終了 |
第4層(レイヤー4) | トランスポート層 | データ転送の信頼性、再送(TCP or UDP) |
第3層(レイヤー3) | ネットワーク層 | ネットワーク間の通信(IPアドレスのパケットによるルーティング) |
第2層(レイヤー2) | データリンク層 | 同一セグメント内の通信(MACアドレスのフレームに基づく通信) |
第1層(レイヤー1) | 物理層 | 物理接続の規定・ビット列を電気信号に変換 |
もちろんネットワークだけを理解していればOKというわけではありません。
特に初心者の頃にITインフラをはじめアプリケーションを含むシステム全体を俯瞰的に理解しておくと、その後の各論でも理解度が上がります。
ここではネットワークを主体にシステム全体を一気通貫してみることができる本を最初に紹介し、徐々にネットワークの核となる重要プロトコルが理解ができる本を「読むべき順番」まで掘り下げてご紹介します。
最初に手に取るべき4冊の本はこれ!
エンジニアになるということは一生勉強を続けるということです。とりわけ本を読むということは最高の自己投資となります。
私もネットワークエンジニアの勉強を始めた頃に本をたくさん読みました。本をたくさん読んできた中で、初心者の方へ絶対におススメしたい4冊があります。
その4冊とは、「①図解入門TCP/IP 仕組み・動作が見てわかる」、「②ネットワークはなぜつながるのか」、「③インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 」、「④マスタリングTCP/IP 入門編」の4冊です。
もともと最初は3冊を紹介していたのですが、2020年に出版された「図解入門TCP/IP 仕組み・動作が見てわかる」がとてもわかりやすかったのでぜひ手に取って欲しいと思い追加しました。最初にこの1冊を読んでおくことにより、2冊目以降の内容が確実にわかりやすくなります。
どれもネットワークエンジニアの業界では超有名な本でこの3+1冊は読んでおいて絶対に損はありません。
できればCCNAでシスコのコマンドを勉強をする前に読んで欲しいと思います。
もちろん資格を取ることを目標にしているならそちらの勉強を優先すればいいと思いますが、まずは基礎をしっかりと学んでから資格を取得したほうが理解に繋がります。
ということでネットワークエンジニアを始めた方に最初にオススメする4冊と、それを読むべき順番についてもう少し詳しくみていきましょう。
インフラエンジニアの分野別オススメ書とサイトは下記にまとめています
▶︎▶︎▶︎【決定版】インフラエンジニアにおすすめの本とサイト
【記事で紹介しているおすすめ書の分野】
インフラアーキテクチャ全般、ネットワーク、ストレージ&ストレージネットワーク、仮想化、コンテナ、クラウド、HCI、セキュリティ、サーバ、シェル、ロードバランサーなど
1冊目「図解入門TCP/IP 仕組み・動作が見てわかる」がおすすめ
ネットワークエンジニアになってから1番最初に読むべき本として「図解入門TCP/IP 仕組み・動作が見てわかる」がおすすめです。
こちらはネットワーク関連本で良書を次々と上梓しているみやたひろしさんの最新刊です。
オールカラーと大量の図解でネットワークの重要用語を全てわかりやすくカバーしています。
エンジニアになって最初は現場で飛び交うわからない用語に圧倒されます。しかしひとつずつ潰しながら理解していくと徐々に理解が進み、その理解がだんだん加速していく成長期に入ります。
英語の勉強でも最初に単語を覚えることが重要なように、エンジニアの世界でも単語の理解が重要です。
こちらの本はネットワークエンジニアに関係する重要な用語を広範囲にカバーしてくれています。ここに出てくる単語は全て覚える価値のある超重要用語ばかりなので、最初の頃は何度も何度も本を開いて理解していくとよいでしょう。
現場に出てからわからない単語をその場でググって覚えていくのでもいいのですが、点となった知識が線になるまでしばらくは我慢が続きます。
図解入門TCP/IP 仕組み・動作が見てわかるを読んで能動的に知識を蓄積していけば、ネットワークやインフラストラクチャに関わる重要な知識がレイヤーに分けて流れで理解していけますので成長のスピードは確実に上がるでしょう。
初心者向けの本ですが、ネットワーク歴9年目の私も最近読んで改めて勉強することばかりでした。
本当におすすめできる1冊なので、ネットワークエンジニアになったら最初に買って何度も何度も読んでみてください。最初は難しくて理解できなかったことが自分自身の研鑽とともにレベルアップしてカタルシスを感じる日が必ずくるはずです。
2冊目「ネットワークはなぜつながるのか」がオススメ
1冊目の「図解入門TCP/IP 仕組み・動作が見てわかる」でネットワーク・インフラストラクチャの用語や全体の関係性の理解ができたら、2冊目に「ネットワークはなぜつながるのか」を読むのがオススメです。
「ネットワークはなぜつながるのか」は通信の仕組みをレイヤ(TCP/IPモデル・OSI参照モデル)に分けて分かりやすく紐解き、ネットワークの視点だけでなく通信全体のフローを俯瞰して掴むことができます。
私はミドルウェアやWebアプリケーションの経験があったので上位レイヤの知識も多少ありましたが、もし上位Layerのことを知らない人でも分かりやすく読めるので安心してください。
私はサーバエンジニアとしてキャリアをスタートしましたが、ある日ネットワークのプロジェクトに抜擢され最初に「ネットワークはなぜつながるのか」を読むことから始めました。
この本を読んでネットワークの根本的な面白さを知りネットワークことが好きになりました。はじめに出会えて本当によかったです。
2002年初版の古めの本ですが、今もなおネットワーク業界では読まれている超有名な本です。少し古い知識(例えばフレームリレーなど)もあり読み飛ばしてもいい部分もたしかにあるのですが、歴史の流れとして単語くらい知っておくことは悪くないでしょう。
ネットワーク技術の教科書的な本というよりは、ネットワークを主体に通信の基礎を流れで理解していく本だと思ってください。精読するというよりはネットワークの面白さを感じていただければOKです。
また今回ご紹介する他の本はぜひ自宅の本棚に入れておいていただきたいのですが、「ネットワークはなぜつながるのか」に関してはストーリーで連続して読み進められるのでKindle版でOKです。
3冊目「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門」がおすすめ
「ネットワークはなぜつながるのか」で通信全体の流れが見えたら、次にネットワークの基本的な設計について勉強しましょう。
著者は「サーバ負荷分散入門」や「パケットキャプチャの教科書」などで有名なみやたひろしさんです。
CCIEホルダーでロードバランサーメーカー「F5」で務める「みやたひろしさん」の本はどれも説明がわかりやすいことに定評があります。
設計入門というタイトルに相応しい書籍で、ネットワークの技術と設計についてわかりやすく学ぶことができます。
こちらの本はもともと2013年に出版されましたが、好評だったようで2017年に第2版が出版されています。
技術の進化によりネットワーク設計は少しずつ変化していくので、現役のエンジニアが書く新しい本で最新のネットワーク設計のポイントを押さえることが大切です。
「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 」は今後ネットワークエンジニアとして提案や設計の上流工程にチャレンジしたい人であれば特にオススメです。
ネットワークの冗長化をどのようにとるのか、その際どういったプロトコルで実現するか、そのプロトコルの設計はどうするか、ということがパターンに分けて具体例とともに紹介されています。
「設計の本は難しそう」と思われるかもしれませんが「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 」は初級者でもわかるようにできるだけ簡単に説明されています。
それでも難しい部分は読み飛ばしてもOKです。数年経験を積んで読み直すと全て理解できるようになっていますので、読み直すことで自分の理解度が上がっていることにも気づくことができます。
繰り返し読んで学ぶことができる「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 」は、ネットワークエンジニアなら是非自宅の本棚に置いておきたい1冊です。
4冊目「マスタリングTCP/IP 入門編」がおすすめ
「マスタリングTCP/IP 入門編」はネットワーク業界では伝説的な本で、ネットワークエンジニアなら知らない人はいない超有名な本です。
最新技術を新たに取り上げて2019年に第6版としてアップデートされました。
この本ではネットワークに関するプロトコルが一冊に網羅されており、ネットワーク技術を体系的に学ぶことができます。
ここまでに紹介した本でネットワークの基礎を学んだら、最後は「マスタリングTCP/IP 入門編」でネットワークを構成するプロトコルを更に深掘りして学びましょう。
「マスタリングTCP/IP 入門編」はネットワーク技術をプロトコルカットに記載しており、いわばネットワークの教科書といった位置付けです。
CCNAの資格本はシスコ機器のコマンドを紹介するための頁が多いので、技術を集中的に学ぶなら「マスタリングTCP/IP 入門編」を先に手に取ることをおすすめします。
「マスタリングTCP/IP 入門編」も学びたいプロトコルの章を繰り返し読み返すことになりますので、紙の本がオススメです。
最近はほとんどkindle本しか買わない私ですが、こういった繰り返し読める教科書のような書籍はいまだに紙媒体で購入しています。
さいごに
今回はネットワークエンジニアになってから最初に手に取るべき3+1冊と読む順番をご紹介しました。ネットワークエンジニアでキャリアアップを目指す方の参考になれば嬉しいです。
インフラエンジニアの方に読んでいただきたい本は他にもたくさんあり、別の記事でもご紹介しています。
ネットワーク以外にも様々な分野に分けておすすめ書を紹介していますので、ぜひ合わせて参考にしてください。
【2021年版】初心者インフラエンジニアにおすすめの本とサイト
今後もインフラエンジニア・ネットワークエンジニアの方向けコンテンツを増やしていきたいと考えています。
本日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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